【再050】(ハトの物語)
「ハトの物語を書いているんですよ」
僕が公園のベンチで、ハトの群れに向かってそういうと、3羽のハトが近づいてきた。
「どれどれ」
「聞かせてごらんなさい」
「興味があります」
朗読が終わると、ハトたちは首をかしげて
「まったくハトのことをわかってないんじゃない?」
「えらく勝手なことを書くもんですね……」
「しかし興味深い。次も聞かせなさい」
と、ぶつぶつ言うのである。
「これ、いくつ書いたの?」
「もう50本も書いちゃったんですか……」
「いや、むしろ何もわかってないところに興味が持てます」
次も書いたら持ってきなさい、とハトが言ってくれたから、僕はまた次の物語も公園へ持っていくのだ。
2018/4/22